頻尿

頻尿の原因とは？なぜトイレが近くなるの？

頻尿（ひんにょう）とは、排尿回数が多くなる状態をいいます。一般的には、日中8回以上、夜間に1回以上トイレに行く場合が頻尿とされます。
水分の摂りすぎや寒さなど一時的な原因で起こることもありますが、背景に泌尿器や全身の病気が隠れていることもあります。

主な原因としては、
・膀胱の過敏な反応（過活動膀胱）
・前立腺肥大症などによる排尿障害
・膀胱炎などの感染症
・加齢による膀胱の容量低下
・ストレスや自律神経の乱れ
・糖尿病による尿量の増加

原因を見極めるためには、単なる「トイレが近い」だけでなく、尿の量や痛みの有無、夜間の排尿回数なども重要な手がかりになります。

頻尿は男性に多い？男性特有の原因とは

男性の頻尿で多いのは、前立腺肥大症が原因のケースです。前立腺が大きくなると尿道を圧迫し、膀胱に尿が残りやすくなります。その結果、少しの尿でも尿意を感じやすくなり、頻繁にトイレに行くようになります。

また、前立腺炎によっても頻尿が起こります。前立腺に炎症が生じると排尿痛や残尿感、会陰部（股のあたり）の不快感を伴うことがあります。
その他にも、男性は加齢により膀胱や尿道の筋肉が衰え、排尿をコントロールしにくくなることがあります。

夜間に何度もトイレに起きる場合は、夜間頻尿と呼ばれ、心不全や睡眠障害が関係していることもあります。

頻尿は女性にも多い？女性に多い原因とは

女性は男性に比べて尿道が短く、膀胱や尿道の周囲が骨盤底筋によって支えられています。この骨盤底筋が出産や加齢によって緩むと、膀胱が不安定になり、尿意を感じやすくなるのです。

また、膀胱炎や過活動膀胱は女性に特に多く、細菌感染やホルモン変化が関係しています。トイレの後の拭き方や冷え、ストレスも頻尿の引き金になることがあります。
更年期以降では、女性ホルモン（エストロゲン）の減少によって尿道や膀胱の粘膜が弱くなり、頻尿や尿漏れが増える傾向があります。

頻尿とストレスには関係がある？

ストレスや緊張が続くと、自律神経のバランスが乱れ、膀胱の働きをコントロールする神経にも影響を与えます。これにより、尿が十分にたまっていなくても尿意を感じやすくなる「心因性頻尿」が起こることがあります。

特に仕事や人間関係などで強いプレッシャーを感じていると、「トイレが気になって落ち着かない」「外出が怖い」といった心理的負担が悪循環を生みます。
このような場合は、膀胱自体に異常がなくても症状が出るため、ストレスケアやリラクゼーションも治療の一環として有効です。

頻尿は病気のサイン？放置してはいけないケースとは

頻尿は一時的な生理現象であることもありますが、次のような症状を伴う場合は病気の可能性があります。
・排尿時の痛みや血尿 → 膀胱炎や尿路感染症
・尿が出にくい、残尿感がある → 前立腺肥大症や神経因性膀胱
・急に強い尿意が起こる → 過活動膀胱
・尿量が多い → 糖尿病や高カルシウム血症
・夜間だけ頻尿 → 心不全や睡眠時無呼吸症候群

頻尿が続くときは、泌尿器科で尿検査や超音波検査を受け、原因を特定することが大切です。

頻尿の対策にはどんな方法がある？

頻尿の対策は、原因に応じて生活習慣を見直すことから始めます。
・水分は1日1.5～2リットルを目安にバランスよく摂取（夜間は控えめに）
・カフェインやアルコールを控える
・体を冷やさない
・ストレスをためない
・規則正しい排尿習慣をつける（トイレトレーニングも有効）

骨盤底筋を鍛える体操や、膀胱の容量を増やす訓練も有効です。薬物療法では、膀胱の過剰な収縮を抑える薬や、前立腺肥大に対する薬が使われることもあります。

頻尿と糖尿病の関係は？

糖尿病では血糖値が高くなると、余分な糖を尿として排出しようとするため、尿量が増え、結果的に頻尿になります。
また、長年の高血糖によって神経が障害されると、膀胱の感覚が鈍くなり、尿がたまっても気づかずに漏れてしまうこともあります（糖尿病性神経因性膀胱）。

頻尿があり、のどの渇きや体重減少、疲れやすさなどがある場合は、糖尿病が隠れている可能性があります。泌尿器科と内科の両方で早めに検査を受けましょう。

頻尿は年齢や性別を問わず起こりますが、多くは治療や生活改善で改善が期待できます。「トイレが近いのは年のせい」とあきらめず、気になる症状が続く場合は早めに泌尿器科で相談しましょう。