この記事を書いた人

日本泌尿器科学会泌尿器科専門医の資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
2026年10月に原木中山でクリニックを開業予定。

膀胱炎の症状とは?どんなサインに注意すべき?

膀胱炎は、膀胱に細菌が入り炎症を起こすことで発症します。代表的な症状には次のようなものがあります。
・排尿の際にしみるような痛み(排尿痛)
・尿が近くなる(頻尿)
・残尿感がある
・尿が濁る、血が混じる(血尿)
・下腹部の不快感や痛み

これらの症状が出ると「風邪かな?」「疲れのせいかも」と見過ごされることもありますが、放置すると症状が悪化し、腎臓に炎症が広がることもあるため注意が必要です。

膀胱炎はなぜ女性に多いの?

膀胱炎は圧倒的に女性に多い病気です。その理由は、女性の体の構造にあります。女性は尿道が男性よりも短く、肛門や膣口に近いため、細菌が膀胱に入りやすいのです。特に大腸菌などの腸内細菌が原因になることが多く、トイレの後の拭き方や生理中の衛生管理が影響する場合もあります。

また、ストレスや冷え、睡眠不足などによって免疫力が下がると、膀胱炎を繰り返しやすくなることもあります。

膀胱炎の原因は何?

膀胱炎の原因の多くは細菌感染ですが、他にもいくつかの要因があります。
・排尿を我慢する
・下半身の冷え
・水分摂取の不足
・性行為による感染
・体調不良やストレスによる免疫低下

特に「尿を我慢する」ことは膀胱内で細菌が増殖しやすくなり、膀胱炎の引き金になります。トイレを我慢せず、十分に水分をとることが予防につながります。

膀胱炎の初期症状チェックをしてみよう

次のような症状がある場合は、膀胱炎の初期段階かもしれません。
・トイレが近いと感じる
・尿の色が濁っている
・排尿後に痛みや違和感がある
・下腹部が重い、チクチクする
・尿が出にくい、残尿感がある

これらは軽い症状に見えても、早めに治療を始めることが大切です。放置すると、腎盂腎炎(じんうじんえん)といった重い感染症に進行することもあります。

膀胱炎でやってはいけないこととは?

膀胱炎の症状があるときに避けたい行動はいくつかあります。
・我慢して市販薬だけで治そうとする
・水分を控える
・体を冷やす
・アルコールやカフェインを摂る
・お風呂やプールで体を温めすぎる

特に自己判断で抗菌薬を飲んだり、症状が軽いからと放置したりするのは危険です。一時的に落ち着いても、再発を繰り返す原因になります。

膀胱炎は何科を受診すればいい?

膀胱炎の症状がある場合は、泌尿器科を受診するのが最も適しています。女性の場合は婦人科でも対応できる場合がありますが、排尿に関する専門的な検査や治療を行うのは泌尿器科です。特に繰り返し膀胱炎になる方、発熱や背中の痛みを伴う方は、早めの受診が必要です。

膀胱炎の治療方法は?

膀胱炎の治療は、原因となる細菌を除去するための抗菌薬(抗生物質)が中心です。症状が軽い場合は、数日間の内服で改善することが多いです。加えて、次のような生活面での工夫も大切です。
・水分をしっかり摂り、尿をためこまない
・体を冷やさない
・トイレの後は前から後ろに拭く
・睡眠をしっかりとる

また、再発を防ぐためには、症状が治まっても薬を途中でやめないことが重要です。治療後の尿検査で細菌がいないことを確認して完治と判断されます。

膀胱炎は早めに治療すれば数日で改善することが多い病気です。しかし、再発を繰り返す場合や、痛み・発熱が強い場合は、腎臓への炎症が広がっている可能性もあります。少しでも違和感があるときは、自己判断せず泌尿器科で相談しましょう。