この記事を書いた人

日本泌尿器科学会泌尿器科専門医の資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
2026年10月に原木中山でクリニックを開業予定。

ED(勃起障害)は、「性的刺激があっても十分に勃起しない」「勃起が続かない」など、満足のいく性行為が難しくなる状態を指します。年齢を重ねると増える印象がありますが、実際には20~30代でも起こり得る身近な症状です。

EDは身体の不調だけでなく、ストレスや睡眠不足など心理面の影響も受けるため、「何となく調子が悪い」「最近元気が出ない」と感じた段階で ED が始まっているケースもあります。

生活の質(QOL)にも関わるため、気になる場合は早めに相談していただくことが大切です。

EDの原因にはどんなものがあるのでしょうか?

EDの原因は大きく「身体的な要因」と「心理的な要因」に分けられます。

身体的な原因として多いのは、動脈硬化・糖尿病・高血圧・高脂血症など、血流の悪化につながる病気です。ペニスの血流が十分でないと、勃起がうまく維持できなくなります。また、加齢やホルモンバランスの変化、前立腺の手術歴なども影響し得ます。

一方、心理的な要因には、仕事や家庭のストレス、緊張、過去の失敗体験によるプレッシャーなどがあります。夜だけ調子が悪い、特定の場面でのみEDが現れるといった特徴がある場合は、心理的な要因が関係していることも少なくありません。

生活習慣も無視できません。喫煙、過度の飲酒、睡眠不足、肥満は ED のリスクを高めます。

原因が複数重なることも多いため、医療機関での丁寧な問診が役立ちます。

EDの治療や治し方にはどんな方法があるのでしょうか?

EDの治療は、原因や生活背景に合わせて選択します。多くの方に効果が期待できるのは、内服薬(ED治療薬)です。血流を改善し、刺激に対して自然な勃起を促す働きがあります。

内服薬のほかにも、ホルモン異常がある場合は補充療法、ストレスが大きい場合は心因的アプローチ、生活習慣の見直しなど、年齢や体調に合わせた治療を組み合わせます。

最近では、ED治療は「恥ずかしいもの」ではなく、生活の一部を改善する医療として広く受け入れられてきました。オンラインで薬だけを購入するのではなく、まずは医師が体調を確認し、安全に使える方法を提案することが重要です。

なぜEDが治らないと感じるのでしょうか?

「薬を飲んだけれど効きにくい」「一度改善してもまた調子が悪くなった」など、EDが治らないと感じる理由はいくつか考えられます。

ひとつは、原因が解消されていないケースです。糖尿病・高血圧・脂質異常症などが影響している場合、それらが改善しない限り、安定した勃起が得にくいことがあります。また、ストレスや疲労が続くと、一時的に薬の効果を感じにくくなることもあります。

また、自己判断で薬の量や使い方を誤っているケースもあります。空腹時のほうが効きやすい薬、食事の影響を受けにくい薬など特徴が異なるため、適切な使い方を医師と相談することが大切です。

効果を感じにくい場合でも、薬の種類を変える、生活習慣の調整を行うなど、改善できる選択肢は多数あります。

EDの薬にはどんな種類があり、どう使うのでしょうか?

代表的なED治療薬には、バイアグラ、シアリス、レビトラなどがあります。いずれも血流を改善し、性的刺激があるときに自然な勃起を助ける薬です。

薬ごとに特徴があり、「効果が出始めるまでの時間」「持続時間」「食事の影響」などが異なります。

・シアリス:持続時間が長く、日常生活の中で使いやすい

・バイアグラ:効果が強いが、食事の影響を受けやすい

・レビトラ:即効性があり、比較的食事の影響を受けにくい

どれが最適かは、年齢、持病、普段の生活リズムによって変わります。安全性を確認したうえで、自分に合った薬を選ぶことが重要です。

EDは誰にでも起こり得る症状であり、適切な治療で改善が期待できます。

気になる症状がある場合は、遠慮なく当院へご相談ください。ED治療薬の処方だけでなく、原因の確認や生活習慣のアドバイスまで含め、安心して治療を続けられるようサポートいたします。