この記事を書いた人

日本泌尿器科学会泌尿器科専門医の資格を持ち、医師として約10年医療現場に立つ。
2026年10月に原木中山でクリニックを開業予定。

尿路結石とは?どんな病気?

尿路結石(にょうろけっせき)とは、腎臓・尿管・膀胱・尿道など、尿の通り道(尿路)に「石」ができる病気です。尿に含まれるカルシウムや尿酸などの成分が結晶化し、固まりとなってしまうことで発症します。
石の大きさは米粒ほどから数センチほどまでさまざまで、位置によっても症状が異なります。
小さい結石なら自然に尿と一緒に排出されることもありますが、大きくなると強い痛みを伴い、腎臓に負担をかけることもあります。

尿路結石の原因には何がある?

尿路結石の原因は生活習慣や体質、代謝の異常などが関係しています。主な要因は次の通りです。
・水分摂取量が少なく尿が濃くなる
・塩分・たんぱく質・糖分の摂りすぎ
・カルシウムや尿酸が尿中に過剰に排出される
・肥満やメタボリックシンドローム
・運動不足、デスクワーク中心の生活
・ストレスや睡眠不足
・遺伝的体質

特に夏場や運動時など、汗を多くかいても水分を補わないと、尿が濃縮されて結晶ができやすくなります。

尿路結石の症状はどんなもの?

尿路結石の代表的な症状は「突然の激しい痛み(疝痛発作:せんつうほっさ)」です。
石が尿の通り道をふさぐと尿の流れが妨げられ、腎臓や尿管が圧迫されて激痛が起こります。痛みは波のように強弱を繰り返し、以下のように部位が変化するのが特徴です。

・腎臓付近の痛み(背中・脇腹の奥がズキズキする)
・尿管の途中ではわき腹から下腹部、鼠径部(足のつけ根)にかけて痛む
・男性では陰嚢や大腿内側にまで痛みが放散することもある
・女性では下腹部に鈍痛や圧迫感として感じることが多い

痛みは「出産より痛い」と言われるほど強いこともあり、冷や汗や吐き気、嘔吐を伴う場合もあります。

そのほか、以下のような症状が見られることもあります。
・尿が赤くなる(血尿)
・尿がにごる、泡立つ
・発熱を伴う(感染合併のサイン)
・尿が出にくい、出ても少量
・排尿時にチクチクした痛み

高熱や悪寒がある場合は「腎盂腎炎」などの合併症を起こしている可能性があり、すぐに受診が必要です。

尿路結石の初期症状にはどんなものがある?

尿路結石の初期は痛みが軽いため、「疲れかな」「腰が張るだけ」と思って見逃されがちです。
初期段階では以下のような症状がみられます。
・腰や背中に鈍い違和感、重だるさがある
・排尿時にわずかな痛みや違和感を感じる
・尿の色が濃い、ピンク色っぽい
・尿が出にくく、残尿感がある
・尿のにおいが強くなる

初期の小さな結石は、尿と一緒に自然に排出されることもありますが、放置すると石が大きくなり、突然激痛を伴う発作を起こすことがあります。
特に男性は女性より尿管が長く、結石が引っかかりやすいため、痛みが強く出る傾向があります。

尿路結石の治療にはどんな方法がある?

治療は結石の大きさ・位置・症状により異なります。
・自然排石療法:5mm以下の結石なら、水分を多く摂って自然に排出されるのを待ちます。鎮痛薬や排石を促す薬が使われます。
・体外衝撃波結石破砕術(ESWL):体外から衝撃波を当てて石を砕き、尿とともに出す方法。痛みが少なく日帰り可能な場合もあります。
・内視鏡手術(TUL・PNLなど):内視鏡を尿道から挿入し、レーザーで砕いたり直接取り除いたりする方法。大きな石や再発例に有効です。
・薬物療法:尿酸結石などは、尿をアルカリ性に保つ薬を使って溶かす治療が行われることもあります。

いずれの場合も、自己判断で鎮痛剤だけを使い続けるのは危険です。結石の場所や大きさを正確に調べ、適切な治療を受けることが大切です。

尿路結石を予防するには?

再発を防ぐためには、生活習慣の改善が欠かせません。
・1日2リットル程度の水分を摂り、尿を薄める
・バランスの良い食事を心がける
・塩分や動物性たんぱく質を控える
・アルコール・糖分を摂りすぎない
・適度に体を動かし、便秘を防ぐ

また、尿を我慢せず、こまめにトイレに行くことも重要です。特に夏場や運動時は汗をかいて脱水になりやすいため、意識して水分補給を行いましょう。

尿路結石は激痛を伴うだけでなく、腎臓への負担や感染症を引き起こすこともあります。
「腰や脇腹がチクチクする」「尿が濁る」など、少しでも異変を感じたら、早めに泌尿器科で相談しましょう。